放送大学でおすすめの科目2選
今回は、私がこれまでに受けた授業の中から、おすすめの科目を2つご紹介したいと思います。
おすすめ1: 「錯覚の科学」
心理学を学んでいる方はもちろん、全ての方におすすめできるのが「錯覚の科学」です。
心理学系ではありますが、「科学」の立場から人間の視覚や認知の仕組みを紐解いていく内容です。
そもそも心理学は、自然科学の一分野とみなしてよいところまで来ています。
この科目も、フロイトやユングといった哲学に近い(臨床)心理学ではなく、エビデンスベースドな、つまり科学的根拠に基づいた心理学を扱っています。
前半は錯視という分かりやすくも魅力的な現象を題材に、人間が現実世界をそのまま知覚しているわけではないことを学びます。
後半では認知バイアスや自己認知といったテーマに触れ、迷信や偏見が生じるメカニズムにも踏み込みます。
血液型性格診断や雨男・雨女といった話にうんざりしている方は、この授業で少しスッキリするかもしれません。
「血液型占いは正しいか?」という議論ではなく、「なぜ人は血液型占いを信じてしまうのか?」というところに焦点を当てているのがポイントです。
主任講師の菊池先生は話し方がとても上手で、心理学における重要なテーマを一つ一つ分かりやすく説明されています。
放送大学に入学された方には、ぜひおすすめしたい科目です
おすすめその2: 「知覚・認知心理学」
2つ目にご紹介するのは、がっつり心理学系の「知覚・認知心理学」です。
こちらも基礎心理学の分野なので、心理臨床の話は出てきません。
代わりに、意識とは何か、というよだれが出るほど(笑)興味深い問題に、実験科学の立場から迫ります。
一番面白かったのは、一酸化炭素中毒により脳の一部を損傷した患者DFさんが、「意識的な」視覚を失っているにもかかわらず、見えているようにふるまえる場合がある、という話です。
例えば鉛筆を差し出してもそれが何であるかは答えられず、鉛筆を水平あるいは垂直に差し出してもその向きを答えられません。
ところが手を伸ばしてもらうと、正しい向きに手首をひねって受け取れるのだそうです。
DFさんの症状に加え、他の脳損傷患者やサルの実験などからも分かることは、どうやら私たちの意識にのぼる視覚と、物を手に取るといった行動を起こすための視覚が、別のルートで処理されているらしいという事実です。
脳の特定部位を損傷して意識的には見えなくなっても、脳は見えている、と言っていいかもしれません。
健常な人の脳でも、行為を行うのための処理は意識的な視覚とは別だと考えるべきでしょう。
このような面白い話がたくさんあり、興味が尽きません。
こちらは心理学を学んでいる方、とりわけ「意識とは何か」という問いに惹かれたことのある方におすすめです。
なお、公認心理士資格の取得には「知覚・認知心理学」が必修となっています。
おわりに
上記2科目はどちらもテレビ授業なので、印刷教材がなくてもある程度学べるようになっています。
放送大学の学生であれば、取っていない科目も含めて全ての授業を視聴することができるので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
特に「錯覚の科学」の第7回~がおすすめです。
もちろん、ちゃんと科目登録をして印刷教材とともに学ぶほうがより楽しめるのは言うまでもありません。
以上、放送大学でおすすめの科目をご紹介しました。
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